フリーランスになる人が退職から開業までにやっておくべきことまとめ

フリーランスになる人が退職から開業までにやっておくべきことまとめ 退職から開業まで

会社を退職してフリーランスになるまでの間、自分の事業の準備だけをすればいいわけではありません。会社やクライアントに対すること、国民健康保険などの手続きなど、退職の前後にやることがたくさんあります。

退職前にやっておいたほうがいいこと

ローンを組んでおく(住宅・車など)

フリーランスになるとローンに通りにくくなります。また、不動産の賃貸契約もできなくなる場合があるため注意が必要です。マイホームを夢見ている人は先に家を建ててローンを組んでおくべきです。僕の場合は近い将来在宅で仕事をすることを想定した家づくりをしたので、すでにローンは始まっています。

もし、ローンの審査は通ったけどまだ実行されていないタイミングで退職してしまうと最悪ローン取り消しという事態になりかねません。住宅ローンは引き渡し後にローンが実行されますので、審査が通ったからといってすぐ辞めてしまわないように注意。

クレジットカードを作っておく

クレジットとは日本語で「信用」です。フリーランスは信用がありません。クレジットカードを1枚も作ったことがない人は会社を辞める前に必ず作っておきましょう。

ただし、フリーランスの人向けのクレジットカードもいくつかあります。たとえば「freeeカード」は企業直後の個人事業主でも作れる事業用クレジットカードです。freeeといえば、クラウド会計ソフトの「会計freee」が有名ですが、freeeカードと一緒に会計freeeの申し込みをすると2,000円分ディスカウントクーポンがもらえます。

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屋号を決めておく

屋号は個人事業主がつけられる会社名のようなものです。屋号がなくても個人事業主として事業を行うことはできますが、屋号をつけておいたほうが社会的に信用されやすいですし、銀行で事業用口座を屋号で開設できるというメリットもあります。

開業届はまだ出さない!

個人事業主として事業を始める際は「開業届」を出す必要がありますが、退職前や退職直後にはまだ出さないでおきましょう。先に開業届を出してしまうと、再就職手当が受け取れなくなってしまうからです。

ロゴマーク・名刺・ホームページ・SNSアカウントなどを作っておく

屋号が決まったらまずロゴマークを作っておきたいですね。営業活動をするのには名刺やホームページなども事前に準備しておきたいところです。Webデザイナーのフリーランスであれば、このあたりを退職前に準備しておくのもさほど難しくはないでしょう。

このあたりの準備で開業前に必要となったものは開業費として計上できます。

退職に向けて行うこと(社内手続きなど)

退職の意思を伝える

まずは、退職したい旨を会社に伝えます。僕の場合は、所属長に口頭で伝えました。その後、上層部との面談を経て正式に退職する方向へ話が進んでいきました。

最近は引き止め問題などにより、企業は社員より退職の意思表明があった場合 速やかに引き継ぎを行い、スムーズに退職させなければならないようです。就業規則などに「退職したい場合は、○ヶ月前までに意思を示すこと」といった文言があるはずなので、それに従いましょう。

退職願の提出

退職願といえば、便箋に縦書きし「退職願」と手書きで書いた封筒を提出するようなイメージがありますが、これはひと昔前のこと。僕の場合は、会社が用意している退職届のフォーマットに必要事項を記入するだけでした。

クライアントへの挨拶まわり

これは会社や職種などによってやり方が違うと思いますが、僕の場合は担当営業ごとに関わりの深かったクライアントのもとへ挨拶まわりに行きました。これまでお世話になったことへの感謝を伝えるのと同時に、これからも何かあればお声がかかるかも知れないので、ここはしっかりと済ませておきましょう。

会社の人と一緒にまわる場合は難しいですが、自分ひとりで訪問する場合は退職後の連絡先を伝えておくのが重要です。

業務の引き継ぎ

これがもっとも重要でかつ必ずやらないといけないことです(就業規則にも記載があるはずです)。退職後に会社から不用な連絡が来ることを避けるためにもしっかり済ませておきましょう。

退職日の当日または直後にすること(会社に対して)

保険証の返却

退職日が過ぎたら保険証を会社に返却しなければいけません。僕は最終出社日と正式な退職日が違った(有給消化に充てた)ので、退職日が過ぎた翌日に会社へ返却に行きましたが、そうでなければ(同じなら)、退職日の退社前に返却すればいいです。

退職日の翌日以降にすること(自身の手続き関係)

離職票・資格喪失証明書の受け取り(郵送で届く)

離職票は退職してから届くまでに2週間ほどかかります。離職票は、再就職手当を受給するための手続きで必ず必要となります。

このあと説明する「国民健康保険の加入手続き」や「国民年金の切り替え」でも離職票が必要ですが、期限である「退職後14日以内」に届かないことがあります。資格喪失証明書だと比較的早くもらえるので、こちらももらえるよう退職前にお願いしておきましょう。

退職金の申請

僕が勤務していた会社の場合は「中小企業退職金共済事業本部(中退共)」という中小企業向けの退職金制度への積立分、そして、「全国情報サービス産業企業年金基金(JJK)」という厚生年金とは別枠で積み立てられていた分の年金のうち退職一時金という形で受給できる退職金の2種類があり、それぞれ指定した口座に退職金が振り込まれるというものでした。

退職金の種類や、そもそも退職金制度があるかどうかは企業によって異なりますので、就業規則を確認したり、会社に正直に聞いてみましょう。退職の意思を会社に伝える前に退職金について知りたい場合は、辞めた人に聞いてみるのもいいでしょう。

いずれも退職日当日や退職直後にもらえるというものではなく、請求書類が届くまで、そして請求書を提出したあとにそれぞれ時間がかかるので注意しましょう。つまり、会社員からフリーランスになる人は収入がない期間がある程度発生するということになります。

また、失業保険(または再就職手当)をもらおうと思っている人も、もらえるまでに最短でも1ヶ月以上かかるので、ある程度貯金がないとその間の生活が厳しくなります。

健康保険を任意継続(2年)するか、国民健康保険に加入するかの選択

会社員からフリーランスになった場合は、基本的には国民健康保険に加入しなければなりませんが、会社の健康保険を2年だけ継続することができます(任意継続)。

ただし、任意継続した場合は、これまで会社と折半して納めていた保険料を全額自分で負担しないといけなくなります。つまり、保険料が2倍になります。ただし、会社員時代の収入によっては、それでも国民健康保険のほうが高くなるという場合もあります。

保険料についてはそれぞれの窓口に問い合わせて試算してもううのが確実です。国民健康保険については、役所の税務課などですぐに計算してくれます。

国民健康保険の保険料は前年度の年収に基づいて算出されるため、フリーランス1年目はかなりの負担になる場合が多いようです。また、2年目は1年目の収入によって保険料が決まりますが、1年目はまだ軌道に乗っておらず収入がそれほど多くないという可能性も大いに考えられるので、この場合は保険料が下がります。

国民健康保険の加入手続きに必要なもの

  • 本人確認ができるもの(運転免許証等)およびマイナンバー(個人番号)が確認できるもの
  • 印鑑
  • 職場の健康保険の資格喪失証明書 or 離職票

離職票は会社から自宅に届くまでに時間がかかる場合があるので、急ぐなら資格喪失証明書を発行してもらうようにしましょう。僕の場合は退職日から1週間以内に届きました。

詳しくは、お住まいの役所のホームページなどで確認してください。

国民健康保険に加入する場合は、(退職後)14日以内に届け出が必要ですが、離職票はそれまでに届かないことが多いです。健康保険の資格喪失証明書のほうが先に入手できるので、こちらが確実です。

国民年金の変更届け出

国民年金は20歳〜60歳のすべての国民年金が加入することになっています。会社員時代は厚生年金では?と思うかもしれませんが、厚生年金は国民年金に上積みするものであり、会社員でも国民年金は納めています。

会社員は国民年金の「第2号被保険者」という区分で、フリーランスのような自営業は「第1号被保険者」に該当しますが、この変更手続きが必要です。国民年金の平成31年度の保険料は月額16,410円ですが、納付の方法によっては割引が適用されます。

国民年金の切り替えも、国民健康保険の加入と同様(退職後)14日以内に届け出が必要です。国民健康保険の手続きと同時に行ってしまいましょう。

本人が手続きを行う場合に必要なもの

  • 個人番号が確認できる書類(個人番号カード、通知カードなど)
    or 基礎年金番号が確認できる書類(年金手帳、納付書など)
  • 本人確認書類(運転免許証、個人番号カードなど)
  • 印かん
  • 資格喪失証明書・離職票など退職の証明ができるもの

こちらでも離職票が必要書類としてありますが、資格喪失証明書でOKです。

詳しくは、お住まいの役所のホームページなどでご確認ください。

再就職手当の申請と開業届・青色申告承認申請書の提出

開業してしまうと失業手当が受け取れなくなりますが、その代わりに再就職手当を受給することができます(失業手当の60%または70%)。自己都合退職の場合は、待機期間の7日間+1ヶ月経過したあとに申請を行う必要がありますが、開業届もそのタイミングで提出しなくてはいけません。

上述のとおり、先に開業届を出したり、フリーランスとして開業する旨を表明してしまうと再就職手当の受給条件に該当しなくなるので注意です。

ハローワークに開業する(または開業準備に取りかかる)旨を伝えたあと、開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出します。ちなみに、開業届の作成は上述のfreeeの中にある「開業freee」というサービスで作成可能です。画面の指示に従って各項目に入力・選択していけば書類が生成されるというものです。

そのあとにまたハローワークへ開業したことを報告し、再就職手当の申請を正式に行います。

クラウドソーシングサイトやエージェントサイトへの登録

どういうスタイルで事業を行っていくかによりますが、最初から軌道に乗らないことが多いでしょうし、なるべく多くの収入源をもっておくほうが良いです。

ランサーズ」や「クラウドワークス」といったクラウドソーシングサイトに登録したり、「レバテックフリーランス」や「クラウドテック」などのフリーランス向け求人・案件サイトに登録しておくといいでしょう。いずれも登録だけなら無料で行うことができます。

また、自らのスキルを販売することができる「ココナラ 」はあまり大きくは稼げないかもしれませんが、ロゴマークの作成やホームページ制作の案件を売りに出すこともできますので、収入源のひとつとして検討しておきたいところです。

まとめ

会社員からフリーランスになるには、ただ単に退職して開業するだけのシンプルなものではなく、公的な手続きがいくつか発生します。しっかりポイントをおさえておき、スムーズに事業を始められるように準備をしておきたいものです。

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